ONTARIO OUTDOOR ADVENTURES

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WINTER 2006
Backyard
雪遊びの思い出
私は冬に生まれたせいか、野外で最初に遊んだ思いでは雪遊びの思い出です。 実家の駐車場や近所で小さなシャベルを使って、暗くなるまで雪遊びをした事をよく覚えています。街灯に灯がともった空を見上げると、雪がゆっくりと地面に落ち、街のざわめきを和らげてくれるのです。そしてトロントの街中を流れるドンバレー川沿いにあったゴルフ場でソリ遊びをよくしたものです。後にこのドンバレーの斜面で、アルペンスキーやクロスカントリースキーも学んだのです。ヘトヘトになるまで斜面を登っては斜面を一気に滑り降りた物です。今ではこうした経験があってか、オンタリオ州内でテレマークスキーの教室を開き今年で22年目を迎え、15000人以上の人々にアルペンとテレマークスキーを教えて来ました。私が経験した雪遊びの楽しさを伝えるのが私の喜びでもあるのです。

今回のニューズレターでは、雪に閉ざされたアルゴンキンの冬でも私達同様、活発に活動する動物「イタチ」の種類をご紹介します。雪上を自由に動き回り、時には雪を滑って遊んでいるかの様な行動をする事が知られています。アルゴンキンには大小7種ほど生息していますが、どれも獰猛な性格でネズミ、カモ、ウサギやヤマアラシなどを襲います。雪上には尻尾を引きずった彼らの足跡をよく見かけます。
そして、冬に活動する動物をもう一種ご紹介します。それはアルゴンキンを代表する動物でもあるムースです。彼らは長い足の為、深い雪でも自由に行動出来、餌となる枝や針葉樹の葉を求めて歩き回ります。「森の王者」とも呼ばれ、厳しい冬もへっちゃらの様に思いますが、実は彼らもアルゴンキンの冬を乗り越えるには幾つかのハードルを乗り越えなければなりません。氷を突き破って冷たい湖に落ちそのまま死んでしまう危険性や、ダニにたかられ体毛を失い凍死する危険など様々なハードルが待ち構えているのです。 では、アルゴンキン公園とオンタリオのスキー場から、皆様が来年も良い年を迎えられる様お祈りしています。皆様も来年は是非この、オンタリオ、アルゴンキンへお出でください。

ホリー ブレフゲン
親の影響で幼い時から自然に親しむ。85年、スキーテレマーク社設立。オンタリオ・アウトドアー・アドベンチャーズ代表取締役。 1児の母でもある。



冬のアルゴンキンで活発に活動するイタチ達
アルゴンキンには7種類のイタチが生息しており、2005年の夏号でも紹介したカワウソはその中で最も大きなイタチ科の動物です。夏の間、カヌーツアーではこのカワウソやミンクを良く見かけますが、他のイタチ科の動物はあまり見かける事はありません。ところが冬の間、雪に覆われたアルゴンキンの森を歩くと、必ずと言っていいほど見かけるのがマーテンなどイタチ科の動物達の残した足跡です。彼らはしなやかで長い胴体に短い足を持ち、小さな耳に丸い愛嬌のある顔をしていますが、鋭い歯に強い顎を持つ獰猛な性格をしています。今回は冬でもネズミなどの餌を求めて活発に行動する3種類のイタチ科の動物をご紹介します。 ウィンターネイチャーツアーに参加すると、スノーシューやクロスカントリースキーをしながらこうしたアルゴンキンのイタチ達を知る事が出来ます。

マーテン American Marten /Martes americana イタチ科テン属 テン

体長(鼻先から尻尾まで)はオスで約60cm、尻尾の長さは体長の約4分の1を占め、体重は1キロ前後。メスはオスよりやや小さい。体は茶色くしなやかな毛で覆われ、顔は白っぽく耳の先端が尖っていてイタチの中で特に愛嬌のある顔をしている。喉に黄色がかったオレンジ色のパッチがあるのが特徴。7月〜8月に交尾をし、翌春2〜3匹の子供を産む。母親に育てられ晩夏に巣離れをする。イタチの仲間はどれも共通の特徴を保持しながらも、各生活環境にうまく適応し分布を広げる「適応拡散」の典型である。カワウソやミンクが水生環境に適応した様に、マーテンは木々の上での生活にうまく適応している。木登りは勿論、綱渡りや枝から枝へ飛び移るなど、リスの様な行動が出来るのである。餌は主にアカリスやシマリスであるが、地上でも倒木や枝を渡りながら木の実や野鳥の卵も捕食している。ハイキングトレイルで見かける細長い小さなフンの多くは彼らの物である。アルゴンキンの森はマーテンにとって最適な生息環境で、リサーチの結果その数も1平方キロメートル当たりに1匹が生息している事が分かっている。


フィッシャー
Fisher/ Martes pennanti イタチ科テン属 フィッシャー
体長80cm-100cm、体重1.5kg-5.5kgと前述のマーテンより一回り大きい。体色もこげ茶色から黒っぽく、耳は丸く小さいのでマーテンとは直ぐに見分けがつく。「フィッシャー」と呼ばれるのでカワウソの様に魚や貝などを捕食し、水辺に棲息していると思われがちであるが、実はマーテン同様完全な陸生のイタチで、野ウサギや、ネズミ、ポーキュパイン(ヤマアラシ)などを捕食する。恐らく開拓者達がヨーロッパに生息する「フィシェット」と呼ばれるイタチに似ている事から、「フィシェット」が「フィッシャー」になまったと考えられる。行動範囲も60km〜100kmと広い事から、オオカミの食べ残したシカなども彼らの重要な餌となっている。 イタチ科なのでフィシャーも獰猛な性格であるが、ハリに体を覆われたポーキュパイン(ヤマアラシ)を捕食する数少ない動物である事から、その獰猛さが誇張されている。イタチ科の動物は毛皮目的で開拓時代から捕獲の対象となり、一時このフィッシャーも北東部では激減した。その反動で木の芽や皮を食べるヤマアラシが激増し、ある地域では森林破壊につながってしまった。その為フィッシャーを他の地域
から移入し、ヤマアラシを捕獲させる事で生態系のバランスを取り戻した。

ミンク American Mink / Mustela vison イタチ科イタチ属 ミンク
体長50cm-70cm、体重1.5kg前後とテンよりやや大きい。体色はチョコレート色で、喉に白いパッチがあるのが特徴。イタチ科の動物の中でカワウソが水中での生活に適応し、テンやフィッシャーが陸上での生活に適応して行ったと考えると、ミンクはその両方に適応した水陸両用のイタチといえる。陸上でネズミやカタツムリなどを捕食すると同時に、岸辺の穴や倒木の下などに巣を作りほとんどの生活を水際でする。カヌーツアー中カワウソ同様岸辺でよく見かけるのも頷ける。泳ぎや巣潜りも得意で、カエル・エビ・小魚、時にはジャコウネズミなども捕食する。ミンクと言うと毛皮のコートが直ぐに思い浮かぶが、イタチ科の動物は皆その毛皮目的で捕獲され、一時その数が激減した。中でもミンクの毛皮はつややかで短く、丈夫で保温性の高さから最も人気の高い毛皮である。ミンクも含めイタチ科の動物は、獰猛ではあるが獲物を狙う際獲物に気を取られすぎ、周囲を気にしない性質がある為、乱獲が進んでしまったと言える。現在市場に出回っているミンクの毛皮はほとんどが養殖の物であり、アルゴンキンでは生息数も安定している。

松の木から様子を伺うマーテン


フィッシャー


ミンク

アルゴンキンの厳しい冬を乗り越えるムース
数多いアルゴンキンの野生動物の中で、ムースはその大きさや風格から「森の王者」とも呼ばれ、最も人気の高い野生動物です。一見無敵の様なムースも、アルゴンキンの厳しい冬を生き延びるのは並大抵の事ではありません。アルゴンキンのムースに関しては2002年の冬号と2003年秋号でも紹介しましたが、今回は、彼らに課せられた冬の試練について解説します。

国道沿いにまいた凍結防止の塩分が命取り
冬の間は、木の枝やスプルース(もみ)などの松葉を食べているので、体内の塩分が不足がちになります。まだ雪の残る春先になると不足した塩分を補う為、道路にまいた凍結防止の塩を舐めに国道沿いの水溜まりにやって来ます。この次期国道沿いではほぼ100%ムースを見る事が出来ますが、ムースと車の衝突事故も増える次期なのです。毎年10頭前後が車にはねられ死んでしまいます。体の大きなムースですから衝突した車へのダメージも大きく、運転手も命取りになる場合も少なくありません。こうした事故を警告するため、国道沿いには「ムース横断注意」の黄色い標識が所々に立っています。ビジターセンターに展示してある大きな剥製のムースも交通事故で犠牲になったムースです。朝夕まだ薄暗い季節でもあり、彼らのこげ茶の体色は視認性が悪いのも事故になる大きな要因です。


大きなムースの大敵は小さな冬のダニ
春先、塩分を舐めに国道沿いに集まるムースの多くは痩せこけ、いかにも厳しい冬を乗り越えたという体裁です。その上、肩や尻尾の周りの毛が剥げているムースが多い事に気づきます。冬毛から夏毛に代わるのも理由の一つですが、その大きな原因は2ミリ程のごく小さなダニによるものです。このダニは「ウィンターテイック/Winter Tick」と呼ばれ、秋になると木々の先端や葉の先に留まり、ムースが通った際にムースの体に乗り移り、毛の根元に入り込み春先まで血を吸って成長します。体の大きなムースは小さなダニに血を吸われただけでは大したダメージは受けません。ところが1頭のムースに数万匹〜10万匹のダニがたかり、春先には10倍の2cm位の大きさに成長すると、痒さや違和感も増し体を木などに擦りつけこれらのダニを取り払おうとするのです。ダニを取ろうとすると必然的に体毛も一緒に落ちるので、擦りつけた部分が剥げてしまい、皮膚が露出してしまうのです。通常、冬毛に覆われたムースはマイナス35℃位までは耐えられるのですが、皮膚が露出した状態では、5℃位でも体温を維持出来なくなりハイポサーミア(低体温症)となってしまいます。雪が多く、気温の低い春が長く続くと、ダニにたかられ体毛を無くした多くのムースはハイポサーミアで死亡してしまうのです。大きな体のムースの大敵が、ダニの様な小さな虫であるとは何と皮肉な事でしょう。

冬を乗り越える大きな体が時には命取り
2mにもなるムースの高い背は、高い所にある木の枝や芽を食べるのに好都合です。足も長いので、シカと違い雪が深くとも移動には困りませんので、行動範囲が広くそれだけ餌にありつける機会が多くなるのです。その上、冬毛に覆われているので極寒の冬でも絶えられ、正に北国の環境に適応した動物と言えるでしょう。夏、カヌーツアーで湖に出ると、湖岸に沿って生えている針葉樹林が2m前後の高さで一直線に並んでいるのを良く見かけ、誰かに刈り込まれた様にも見えます。これは、「ブラウジングライン/ Browsing Line」と呼ばれ、冬の間ムースが結氷した湖面に出て背の届く範囲の松葉を食べる為、こうして綺麗な線となるのです。 しかしながら湖面の氷が溶け始める春先に、こうして湖面へ出たり湖を渡ろうとする場合、彼らの大きな体が逆に命取りとなる場合があります。重い体が氷を付き割り、そのまま上がれずにハイポサーミアとなり、溺死してしまうケースが良くあるのです。

ムース Moose / Alces alces 偶蹄目 シカ科 ヘラジカ オスは体重500キロ高さ2m。掌の様に広がる平たい角を持つ事から和名「ヘラジカ」と呼ばれシカ科の中で最も大きい動物である。メスはオスより一回り小さく角は無い。食料は主に木の葉や枝を1日に約20キロ程食べ、Mooseの語源もアルゴンキン語の「Twig Eater(小枝食べ)」から来ていると言われている。夏になると湖や湿原に生えるスイレンやコウホネ、蒲などの根を好んで食べる。普段木の枝や葉ばかりを食べ塩分が不足しているので、塩分を多く含んだ水草の根を食べる事で補っている。オスはBull(ブル)、メスはCow(カウ)と呼び、オスは6年前後、メスは2年で成熟し寿命は20年前後。メスは春先に子供を1〜2頭産む。

国道沿いにあるムース注意の標識


毛の根元で血を吸うダニ


氷が割れて冷たい湖に落ちたムース


溺死したと思われるムース

Editor: Katsu Sakuma
Special thanks : Ministry of Natural Resources, The Friends of Algonquin Park , Ontario Parks
Photo credit: Katsu Sakuma
References: "Mammals of Alqonquin Provincial Park" by The Friends of Algonquin Park, "The Raven, Talks About Deer & Moose" by The Friends of Algonquin Park,
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