ONTARIO OUTDOOR ADVENTURES

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WINTER 2005
Backyard
冬の来訪者
私のオフィスの窓からは毎日素晴らしい北側の景色が見渡せますが、最近特に私の目を楽しませてくれるのは、ブラックキャップドチカディーやジャンコ、ナットハッチ、ブルージェイなど、冬に餌を求めて集まる野鳥達です。オフィス窓の下にある花壇が、彼らのお気に入りの止まり木になっているドッグウッドのすぐ近くにある事から、この花壇が安全な餌場になる事に気付いたのです。毎日ヒマワリの種やナッツなどの餌を花壇に撒くと彼らがやってきます。窓越しにじっとしていると、「チカ・ディー・ディー・ディー」と聞こえる彼らの高くシンプルで特徴ある歌声を楽しませてくれます。小さな体でありながら忙しく動き回り、マイナス10℃〜20℃になる厳しい冬に耐えられるエネルギーには感心させられます。

アルゴンキンで秋から冬にかけて、スノーシューやクロスカントリースキーでハイキングしていると、しばしば彼らの歌声に癒されます。小さな群れで枝から枝へと忙しく飛び回り、幹の中や枯れ葉の下で越冬している昆虫やそのタマゴを探しているのです。ボレアルチカディーと呼ばれる彼らの仲間もアルゴンキンに棲息しています。こちらは一回り大きい体で、頭と羽は薄茶で黒い胸をしています。彼らと同じ様な環境を好むのが、レッドブレステッドナットハッチ、別名「アップサイドダウン・バード(逆さま鳥)」です。強い後ろ足と爪を巧みに使い、幹を自由自在に機敏に動き回り幹の裏に隠れている昆虫を捕まえます。
雪に閉ざされたアルゴンキンの森を歩くと、こうした野鳥の他にシカ達の足跡も見つける事が出来ます。彼らの足跡を辿っていくと彼らの冬の食料や寝床、縄張りの目印など彼らの冬の生活を推し知る事が出来ます。

今日、私のペットのストライダーと一緒にこうしたハイキングを裏庭で楽しみました。するとやはり、スーマックやオータムオリーブの木に、雄ジカが角の皮を取る為にこすり付けた痕跡を見つけたのです。10年前では見られなかったこうした野生動物の痕跡を見つける度に、私達の裏庭もこうした野生動物達の支えになっている事を知り私はとても嬉しく感じるのです。

2005年の新しい年が皆様にとって素晴らしい年になりますようにお祈りしています。

ホリー ブレフゲン
親の影響で幼い時から自然に親しむ。85年、スキーテレマーク社設立。オンタリオ・アウトドアー・アドベンチャーズ代表取締役。 1児の母でもある。







冬のアルゴンキンで活発に活動するチカディー達
雪に覆われ長く厳しいアルゴンキンの森でも、いかに多くの野生動物達が森の中で生活しているかは2002年冬号のニュースレターでお話しましたが、今回は雪に閉ざされ静まり返ったアルゴンキンの森で活発なさえずりを聞かせてくれる野鳥達3種をご紹介します。

ブラックキャップド・チカディー
Black-capped Chickadee/Parus articapillus
スズメ目シジュウカラ科(コガラ)
体長13cmとスズメより小さく、灰色の体に黒い頭の見分け易いこの種は、カナダ全土に分布し通年を通して頻繁に見かける野鳥の一つです。「チカディーディーディー」とその特徴のあるさえずりから「チカディー」と親しみを込めて呼ばれています。繁殖期になると高地や森に移動し、秋〜冬には街などへ移動します。アルゴンキンの森を、スノーシューやXCスキーでハイキングしていると、静まりかえった森に彼らのさえずりが響き渡ります。この種は主にメープルなど広葉樹林を好み、昆虫や木の実、種などを餌にします。巣はキツツキの空けた穴や古巣、幹の割れ目などを利用するので風雨の影響を受け難く、外敵からも見つかりにくい利点があります。オスメスのペアーの他、10匹前後の小グループで行動を共にする事で外敵から身を守り、餌を見つけ易くしています。

ボレアル・チカディー
Boreal Chickadee/ Parus hudsonicus
スズメ目シジュウカラ科
体長15cmと前述のブラックキャップドチカディーより一回り大きく餌や習性などは同じですが、棲息環境はスプルース(とうひ)などの針葉樹林を好みます。容姿も頭の色が茶色を帯びているので区別が付きます。この種は本来もっと北部に多い種なのですが、アルゴンキンが周囲より500m程高く台地になっているので、南部に属しながらも、北部の生態系に近いのでこうした種が棲息できるという訳です。スプルースグラウスやグレージェイがアルゴンキンで見られるのと同様の理由です。

レッドブレステッド・ナットハッチ
Red-breasted Nuthatch
スズメ目ゴジュウカラ科 (ゴジュウカラ)
カラ類の仲間ではありませんが、生態や棲息環境など良く似ているので和名は「ゴジュウウカラ」と「カラ」の名前がついています。体長11cmとチカディーよりも一回り小さいのと大きな違いは、木の幹での動き方を見ると一目瞭然です。彼らは木の幹に平行に伝い歩きするだけでなく、根本に向って逆さまに移動しコガラ達が見過ごした虫や木の実を探す事が出来る数少ない野鳥です。また、キツツキの空けた穴や割れ目を巣にする事もチカディーと同じですが、こちらは巣穴の回りに樹脂や潰した昆虫を擦り付けてベト着かせる事で敵の侵入を防ぐ事も大きな特徴です。この種は針葉樹を好み、白いお腹をしたもう一種のホワイトブレステッドナットハッチは体長も15cmと一回り大きくメープルなど広葉樹林に棲息しています。同様留鳥で雪に閉ざされたアルゴンキンのトレイルに彼らの鳴き声が響き渡ります。

ウィンターネイチャーツアーに参加すると、スノーシューやクロスカントリースキーをしながらこうしたアルゴンキンの野鳥達を知る事が出来ます。

ブラックキャップド・チカディー


ボレアル・チカディー


レッドブレステッド・ナットハッチ

厳しい冬に左右されてきたアルゴンキンのシカとムース達
ムースはアルゴンキンを代表する野生動物で、ムースを見る為に毎年多くの人々がこの地に訪れます。しかしながら、1970年代以前はアルゴンキンの森がまだ未成熟だった事から、比較的開けた草原などを好むシカの生息数の方が多くムースは希な存在だった事は驚きです。こうした変遷の原因は環境の変化とアルゴンキンの厳しい冬であった事は、2002年の冬号でも少し紹介しました。今回は、アルゴンキンの厳しい冬がどの様に彼らに影響を与えているかを解説します。

農地開拓と森林伐採による環境の変化で、シカが急増
現在、ホワイトテイルディアーはオンタリオ州でごく一般的に見られるシカですが、本来はもっと気候の温暖な南部に棲息する種でした。1700年代から多くの開拓者がこの地に入植し森林を伐採してこの地を切り開くと共に、草原を好む彼らも寒い気候に適応しこの地に広がったのです。1800年代に入り英国で木材の需要が高まると、木こり達がアルゴンキンにも押し寄せたった70年間でうっそうとしていた松の森を伐採してしまったのです。オンタリオ州南部まで既に広がっていたシカ達も、当然ながら草原と化したアルゴンキンに広がり、かつてはムースの多かったアルゴンキンも、シカに取って代えられたのです。第一時大戦前後、その数は30,000-45,000頭と推測され、戦中の食料不足を補うのにトロントに出荷されていた程でした。現在のアルゴンキンのムース数が約4千頭と推定されていますので、当時のシカの数は爆発的な数字です。

針葉樹林に守られ雪深い冬を乗り越える
環境がシカの好む草原に変ったとは言え、厳しく雪の多い冬が変った訳ではありません。シカはムースに比べ1m前後と背丈も低く、体重も100キロと体も小さい事から雪深い地域には本来適しません。雪の深さが50cm以上になると、移動が困難となり摂取できる栄養よりも、移動に使うエネルギーの方が多くなり生き延びる事が困難となるのです。アルゴンキンでは左程積雪は多くないものの、50cmの積雪は珍しくありません。彼らはこうした積雪上の移動を避ける為、アルゴンキンに点在していたスプルース(とうひ)やヘムロック(栂)、もみの針葉樹林の下で越冬していたのです。これらの森は常緑樹なので積雪も少なく、冬の主食となる松葉も十分にあったという訳です。ムースが激減した理由は環境の変化の他、シカの脳に寄生する「Brain Worm」と呼ぶ線虫も大きな原因でした。シカには何の影響も及ぼしませんが、一度ムースの脳に寄生すると神経を冒し死に至らしめるのです。この理由からムースとシカの棲息地は交わる事は少ないのです。

1970年を境にムースが復活
ムースがアルゴンキンに復活した理由は、森が成熟しシカよりもムースの好む環境に戻ったとう事ですが、大きな切っ掛けとなったのはやはり、厳しい冬が数年間続いた事でした。1958-59年,1959-60年の2シーズン続けて長く厳しい冬だった為、食料不足となり多数のシカが餓死したのです。運良く生き延びたメスジカも栄養不足の為子供を産む事が出来ませんでした。1969年には7,900頭と推定されていた棲息数は、74年には2,600頭に激減しています。2002年の冬号インタビューに答えて下さった、元公園ナチュラリストのストリックランド氏も、最初にアルゴンキンに赴任した1965年から30年間で完全にムースが代頭したと証言しています。厳しい冬に一時は適応したかの様に見えたシカ達も最終的には、この厳しさに淘汰されてしまったという訳です。元来南部の比較的温暖な気候の動物だったのですから自然の摂理とも言えるでしょう。

ホワイトテイルディアー Whitetailed Deer ,Odocoileus virginianus
シカ科 (オジロジカ)
南米〜北米大陸全般に棲息している最も一般的なシカの種である。内側の白い尻尾を立ててジャンプしながら逃げるのでこの名がついた。オスはBuck(バック)、メスはDoe(ドー)と呼び、オスには毎年生え変わる角があり、4〜5年で成熟する。オンタリオ州の種は高さ1m前後、体長1.9前後で体重は60−120Kgで、メスはオスよりも小さい。夏毛は赤茶で短く、秋に生え変わる冬毛は灰色で中空となっている。春〜夏には草や木の若芽を食べ、冬には枝や木の皮、松葉を食する。早朝と夕方〜夜にかけて捕食行動し、牛と同様に胃が4ツあり反芻(はんすう)する。秋の繁殖期になるとオスの角の成長が止まり、首が太くなる。メスは春先に子供を1〜2頭産む。

1960年頃のアルゴンキン


雪が深いと移動が困難


夏毛のメスジカ


子鹿は白い斑点がありカモフラージュ
Editor: Katsu Sakuma
Special thanks : Ministry of Natural Resources, The Friends of Algonquin Park , Ontario Parks
Photo credit: Katsu Sakuma
References: "Birds of Alqonquin Provincial Park" by The Friends of Algonquin Park, "Mammals of Algonquin Provincial Park" by The Friends of Algonquin Park,
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