ONTARIO OUTDOOR ADVENTURES

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SPRING 2003
Backyard
2003年春の訪れに感謝!
厳しい冬の後退と新しい春の訪れ。この季節は一瞬ながらオンタリオ州のあちこちで新しい生命の鼓動がみなぎる季節で、私は特に、「短命の季節」と呼んでいます。4月中〜5月にかけてのこの時期は、雪が解けたかと思うと、メープルなどのハードウッドの森には新芽が一斉に吹き出し、生命が息を吹き返します。
この時期は野の花を鑑賞したり、ムースの親子を見たり、そして南から帰って来る渡り鳥達のさえずりを聞くのに絶好の季節です。特に私は、春一番にピンク色の筋をつけた小さな花を咲かせる「スプリングビューティー」が辺り一面を覆う様が大好きです。また、斑入りの葉に黄色くうなづいた可憐な花を付けるトラウトリリー(カタクリ)の群棲地の中に時折見られる3枚の花、3枚の葉のルビー色をしたレッドトリリアム(エンレイソウ)に、白地に赤い筋のはいったペインテッドトリリアムの咲くハイキングコースが大好きです。
春の息吹きはこうした野の花ばかりでなく、多くの小鳥達のさえずりでも分かります。その姿を見る事はまれですが、レッドアイビレオ(モズモドキ)は1時間に3000回もさえずり続けます。スカーレットタニジャーの雄は、その鮮やかな赤いボディーと黒いウィングで雌を引き付け、つがいになると雌と同様オリーブ色に変身します。また、ルビー色の喉と緑色のボディーとキラキラ光るボディーを持つ最少の鳥・ルビースローテッドハミングバードは南米の越冬地から戻り、サップサッカーと呼ぶキツツキの開けた穴から流れる甘い木の汁の恩恵を受けています。
長い冬の間、木の皮や松葉などしか食べていなかったムース達は塩分が不足しているので、冬の間凍結防止で蒔かれた塩をなめに国道沿いに集まります。雪が解けると道端に溜まった塩分を多く含む水溜まりで水をなめているムースに良く出会います。
この春始まる春の野の花ツアーでは、アルゴンキン州立公園の西に位置するアロウヘッド州立公園へ訪れます。ここでは、オンタリオ州の州の花であるホワイトトリリアム(オオバナエンレイソウ)が群生しているハイキングコースを幾つか訪れます。アロウヘッド州立公園はアルゴンキンに比べ少し高度が低く、その地質もホワイトトリリアムに適している為、通常は南部に自生しているこうした植物の北限として知られています。
今回のニュースレターには、春に息を吹き返すこうしたの動植物の秘密が書かれています。この記事を読んで興味を持たれたら是非とも実際の目で体験してみて下さい。

ホリー ブレフゲン
親の影響で幼い時から自然に親しむ。85年、スキーテレマーク社設立。オンタリオ・アウトドアー・アドベンチャーズ代表取締役。 1児の母でもある。












アルゴンキン公園に戻る春の渡り鳥達の不思議 コリン・ジョーンズ
アルゴンキン公園の春は、一日一日の変化が大きく神秘的なシーズンと言っても過言ではありません。数週間も過ぎるとアルゴンキンの森、湖、そして川は長い冬の眠りから目覚めるのです。雪と氷のブランケットに包まれた森は次第に野の花のカーペーートで敷き詰められます。そして木々からは一斉に芽が吹き出し葉を広げ始め、クロクマやヤマネ達が冬眠から目覚めます。この季節で、アルゴンキンで起こるもっとも大きな変化は無数の渡り鳥達の帰還だといえるでしょう。美しい小鳥達のさえずりが森に響き渡り、美しい彼らの姿が森に色を添えます。

アルゴンキン公園に一年を通して生息する留鳥は約15種類ほどです。これらの留鳥はアルゴンキンの厳しい冬を乗り越える為の適応力を身につけています。つまり、生き残るために十分な食料を得られているのです。しかしながら公園内で繁殖する約80種の鳥達は、秋になると食料の豊富な南国へと渡って行かなければなりません。そして春になるとまたこの地へ戻り、この時期には毎日新しい帰還者達で賑わいます。

アルゴンキン公園への帰還はまだ雪で閉ざされた早春から始まります。3月になると先ずはカラスとアメリカンロビン(コマドリツグミ)が現れます。時を同じくして、雄のレッドウィングブラックバード(クロウタドリ)も到着します。彼らは通常湿原やビーバー池の廻りに自分の縄張りを作り、美しいさえずりで雌を呼び寄せます。彼らの真っ黒な体に、鮮やかな赤色のショルダーパッチは残雪の背景に良く映えます。渡り鳥の多くの種類は、雄が先ず始めに戻り縄張りを確立してから雌が来る場合が多いのです。

4月になると雪解けと共に季節も急速に進み、長い間雪で覆われていた地面が顔を出し始めます。氷が解け、先ず最初に水の流れ始めるのが、ビーバー池の湿原や小川です。氷が解ける日を知っていたかの様にほぼ同時に帰ってくるのがウッドダック(カナダオシドリ)とフーデッドマガンサー(アイサの仲間)です。カナダで最も綺麗なカモ科の中の2種類で、夏の繁殖地を求めて渡って来ます。アルゴンキンの湖から完全に氷がなくなるのは4月の第3週から4週目にかけてですが、この時期になるとオンタリオの州鳥でアルゴンキンの象徴とも言えるコモンルーン(アビ)が戻ってきます。彼らのヨーデルやウェイルといった神秘的な鳴き声が森に響き渡る様になるのです。
4月はアルゴンキンで最も良く見かける猛禽類の、ブロードウィングホーク(ノスリの仲間)が戻る時期でもあります。彼らの白と黒の線が入った尾が特徴的で、空高く舞っていたり、国道沿いの木に留まっている姿を見かけるようになります。かれらは木に留まりながら、ネズミや大好物のヘビを探しているのです。4月の半ばを過ぎると、ソングバード達の最初の大きな波がアルゴンキン内に押し寄せます。早い時期にこの地に戻ってくる渡り鳥は、米国南部〜中央部と比較的近場に越冬地を選んでいる種類です。ウィンターレン(ミソサザエ)やホワイトスローテッドスパロー(スズメの仲間)などで、この2種はアルゴンキンで最も繊細なさえずりをするソングバードと言えるでしょう。ウィンターレンの快活な鳴き声は終わりが無く、小さな体であの様なエネルギッシュで、複雑なさえずりが出来るのは大きな驚きです。そしてもう一種類アルゴンキンを代表するさえずりが、ホワイトスローテッドスパローです。とても頻繁に聞く美しいさえずりの為、公園のナチュラリストが何の鳥か聞かれない日は無いほどです。

5月はアルゴンキンにやってくる渡り鳥のピークシーズンです。新しい鳥達が毎日の様に到着し、バードウォッチャーにとっては最高に楽しい時期です。フライキャッチャー(ヒタキの仲間)、スワロー(ツバメ)、スラッシュ(ツグミ)、ビレオ(ウグイスの仲間)、ワーブラー(ウグイスの仲間)、タニジャー(フウキンチョウ)、バンティング(ホオジロの仲間)、スズメなど多くの種類がこの時期に渡って来ます。アルゴンキン公園は、何万もの渡り鳥が中継地点にするポイントピーリー国立公園の様に、渡り鳥を観察する場所としては有名ではありません。しかしながら、春渡ってくる彼らはこの地を繁殖地として選んでいるので、いち早く帰還した雄達は縄張りを作り、営巣活動を始めます。それゆえ、アルゴンキン公園はバードウォッチャーにとっては美しいさえずりと共に、繁殖活動をも観察出来る絶好の場所なのです。
種類によって生息環境の好みが違うので、アルゴンキンに生息する種類を探すのは比較的簡単です。それぞれの種類が好む生息条件の所へ行けばいいのです。例えば、最も公園内で良く見かける種類であるレッドアイビレオ(モズモドキ)や、ブラックスローテッドブルーワーブラー(ウグイスの仲間)、タニジャー(フウキンチョウ)はハードウッドの森を好むので、ハードウッドルックアウトトレイルへ行けば観察可能です。また、ヘムロック(ツガ)の森が広がるヘムロックブラフトレイルを歩くと美しいさえずりの、ブラックバーニアン、ブラックスローテッドグリーンワーブラー(ウグイスの仲間)が観察可能です。そして、スプルース(トウヒ・エゾマツ)の森を通るスプルースボグボードウォークでは、ナッシュビルワーブラー(ヒタキ科)、はじける様なさえずりのルビークラウンキングレット(キクイタダキ)を見かける事が出来ます。サンデークリーク沿いのボードウォークではコモンイエロースロート(ムシクイ)やスワンプスパローが、ガマのなる湿原の間を行ったり来りするのを観察できます。

アルゴンキンで繁殖する多くの種類の渡り鳥達は、中南米やカリブ海諸島を越冬地にしています。彼らの様な小さな体で、長く危険な旅を一年に2回もしているという事は生物学にとっては非常に重要な研究テーマです。例えば、アルゴンキンで最小の鳥であるルビースローテッドハミングバード(ハチドリ)ですが、彼らは毎年中米で越冬していますが、小さな体で毎年アルゴンキンへ戻ってきます。では何故、アルゴンキンで繁殖している多くの鳥達は秋になると南へ危険を犯してまでも渡って行くのでしょうか?答えは簡単です。アルゴンキンの厳しく長い冬の間、生き延びるのに十分な食料が入手出来ないからなのです。それではどうして、暖かく食料の豊富な南国に彼らは留まっていないのでしょうか? 恐らく答えは、危険な長旅をしてまでも一度アルゴンキンで縄張りを確保できると、湖や川に囲まれ最適な環境の中で必要な食料が確保できるからでしょう。繁殖活動は彼らにとっては絶大なエネルギーが必要な活動です。雌は卵を産むばかりで無く、孵った子供達にエサを与えなければなりません。もし彼らがアルゴンキンへ来る事なく、南国に留まり繁殖活動をするとなるとどうでしょう?数多くの南国を代表する鳥達と勢力争いをしなければなりません。また、日が長くなるアルゴンキンの夏は餌を探す時間も長くとれるのも大きな利点です。

それまでミステリーに包まれていた渡り鳥の「渡り」については色々と解明されてきましたが、まだまだ解明されていない事がたくさんあります。どの様に彼らが正確にナビゲーションして、越冬地から繁殖地へ戻って来れるのかはまだ完全にj解明されていません。ただ明確に分かっている事は、毎年春になると非常に多くに種類が必ずこの地へ戻ってきてくれるという事です。比較的簡単に観察可能で、彼らの繁殖活動も見れ、美しいさえずりも聞けるという事なのです。

ウッドダック(カナダオシドリ


ルーン(アビ)


ホワイトスローテッドスパロー


レッドアイビレオ(モズモドキ)


カーレットタニジャー(風琴鳥)


ルビースローテッドハミングバード

メープルの森を敷き詰めるエンレイソウ
メープルや樺、ブナなどで覆われている森を「ハードウッド」と呼んでいますが、この「ハードウッド」の森は野の花達には悪条件な場所なのです。メープルの木は6月〜10月頃まで鬱蒼と葉を広げる為、森の中には光合成に必要な光りが殆ど届きません。落葉すると直ぐに雪に覆われてしまいます。ですからハードウッドに咲く花達は、雪が完全に溶け森に日光が十分差し込む、4月末からメープルが葉を広げるほんの6月の数ヶ月間に花を広げなければなりません。ただこうした理由のお陰で短期間ではありますが、ハードウッドの至る所に美しい野の花達が咲き誇るのです。
ハードウッドの野花の代表は、何と言っても「トリリウム」と呼ぶエンレイソウ(延齢草)です。ユリ科の多年草で、大きな花弁、がく片、葉がそれぞれ3枚のユニークな植物です。英名のトリリウム(Trillium)もラテン語の「3」を意味しています。日本の種類と比べ、花弁が非常に大きいので違う花かと思うほどですが、葉を見ると同種である事がよく分かります。ここでは代表的な3種類をご紹介します。

ペインテッドトリリアム
ホワイトトリリアムに良く間違われるが、大きさも一回り小さく花弁も細長い。大きな違いは花弁中央に赤い筋が放射状に広がっている事。「ペインテッド(Painted)」という名前も、ベースの白地に「色付けをした」とい意味である。ホワイトトリリアムの様に群生では見られないが、アルゴンキンでは良く見かけるエンレイソウの種類である。

レッドトリリアム

アルゴンキン公園内で最も良く見かけるエンレイソウである。花弁は深紅色で、縁にはしわがなくスッキリしている。蜜が無い
代わりに、花から強い臭いを放ち赤花の色と共に虫を寄せ付け受粉に役立てている。Stinkin Benjamin(臭いベンジャミン)と呼ぶ地方もある位である。ホワイトトリリアムの様に広大なコロニーは作らないが群生している所もある。この種は日本や中国のエンレイソウに最も近い種類である。

ホワイトトリリアム
オンタリオ州の州花であり、州民に最も親しまれている花の一つである。春になると州南部のメープルの森のあちこちに足の踏み場もない程の大群落を作りその景観には圧倒される。アルゴンキン内ではまず見る事はないが、近くのアロウヘッド州立公園にはオンタリオ州北限の群落地がる。エンレイソウの中では最大で、白い大きな花弁に黄色の雄しべ、雌しべが美しい。花の終盤になると花弁の色がピンク色になる。


ペインテッドトリリアム


レッドトリリアム


ホワイトトリリアム

北限の植物が多いアロウヘッド州立公園
アルゴンキン州立公園は台地になっている為、北と南の植生が交わった場所として知られていますが、アルゴンキン近くのアロウヘッド州立公園は、南部植生の北限として知られています。今回はこのアロウヘッド州立公園をご紹介します。

アロウヘッド州立公園は、アルゴンキン州立公園と同様、自然環境をなるべく保持する「自然環境クラス」の州立公園として1966年に制定されました。メイフラワーレイク、アロウヘッドレイクの2つの湖畔沿いには、1キロ〜7キロの6ツのハイキングコースと、370のキャンプ場やサイクリングコース、カヌールートが設置され様々なアウトドアー活動が楽しめ、アルゴンキンのミニチュアー版とも言える州立公園です。ムスコカ地方のリゾートタウン、ハンツビルから近い事もあり、シーズン中は多くのキャンパーで賑わいます。
春先になると良くわかりますが、通常アルゴンキンでは見る事の出来ない南部に自生している植物が多い事に気づきます。
この辺りは、カタクリやエンレイソウ、ウラシマソウなどの北限としても知られています。

スタッブスフォール・トレイル
リトルイースとリバー沿いの2キロの短いコースですが、オンタリオ州南部を代表する典型的ハードウッドをよく表したコ−スです。雪が解けた4月末になると、森のフロアーからは待ってましたとばかりカタクリやエンレイソウが芽を出し開花します。
5月初め〜中頃には、ホワイトトリリアムが辺り一面に咲き乱れその光景には圧倒されます。
ビーバーメドウ・トレイル
公園北部にある「ビーバーメドウ」と呼ぶビーバー湿原の回りを周回する7キロのコースで、6つあるコースの中で最長です。
湿地の生態系が良く分かり、最も野生動物が見れる可能性の高いコースです。
イーストリバー・トレイル
リトルイーストリバーとビッグイーストリバー沿の2.4キロのコースです。曲がりくねった川が作る三日月湖の形成を説明しています。また、アロウヘッド公園周辺の地形の成り立ちと氷河期との関連が分かります。
ホームステッダー・トレイル
この3キロのコースは、1870年に最初に入植者したウィリアム・ラント氏の農場跡地を見学します。。今ではミルクハウスの基礎、石垣の跡、放置された馬車、そして広い放牧地の跡があるのみですが、当時の厳しい生活を垣間見る事が出来ます。
メイフラワーレイクトレイル
メイフラワーレイク北岸に沿った1キロの短いコースです。ここでは湖岸に自生する様々な水生植物が観察できます。
ビッグベンド・ルックアウト
ビッグイーストリバーを眼下に見下ろす展望コースです。眼前には「氷河デルタ」と呼ぶ氷河が作ったデルタ地帯を観察する事がで出来ます。

アロウヘッドはアルゴンキンの隣


エンレイソウが一面に敷き詰められる


カタクリはエンレイソウより一足早く開花
Editor: Katsu Sakuma
Special thanks : Colin Jones/Biologist for MNR, The Friends of Algonquin Park , Ontario Parks, Arrowhead Provincial Park
Photo credit: Robert Moos, Ontario Parks,The Friends of Algonquin Park, Katsu Sakuma
References: "Wildflowers of Alqonquin Provincial Park" by The Friends of Algonquin Park,"Birds of Algonquin Provincial Park" by The Friends of Algonquin Park
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