ONTARIO OUTDOOR ADVENTURES

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SPRING 2008
Backyard
恵みの春

"春の熱病。この熱病に犯されると何をしたいのか訳も分からず、ただ心がうきうきし始め、もっと重症になりたくなる!"
- マーク トゥエイン

この格言が示すとおり、恵みに充ちた春の訪れを待ち望まない人がどこに居るでしょう。最近私達家族は、オークリッジモレーン保存区域に広大な土地を寄贈した親友の記念式典に参加してきました。オークリッジモレーンとは氷河期の堆積物が形成したトロント市郊外北部に広がる丘陵地帯で、帯状の森林に守られ幾つかの水源となっている地帯です。カナダ自然保護協会が保護と拡大運動を推進している言わばグリーンベルト地帯です。 皆でこの土地を散策しながら美しい景色を眺め、大きく成長したホワイトオーク(コナラ)の木に感銘し、森が春の暖かな日差しに抱擁され目覚めているのを感じました。こうした春の恵みの如く、親友が寄贈した土地は最も素晴らしい恵みとなり、家族の中でも偉業として語り継がれていくでしょう。この土地はカナダ自然保護協会により、そのままの自然環境が維持されるよう管理され、未来の人々の安息の地、散策の地として受け継がれていくのです! これは私が最も感銘した式典で、嬉しさのあまり私は心の中で口ずさみました。

アルゴンキン公園はというと、まだ白いブランケットに覆われていますが、渡り鳥のさえずりや雪解けの水音、やなぎの芽吹きなど春の兆しは着実に現れています。湖から氷が無くなると公園の正式な幕開けとなり、同時にレイクトラウトと呼ぶイワナ釣りのシーズンが開幕です。この時期になると小魚やザリガニ、カゲロウの幼虫や、水面の羽化したばかりのカゲロウなどを活発に捕食し始めます。 このイワナ釣りが、私達オンタリオアウトドアアドベンチャーズの春のカヌーツアーでは恒例行事となっています。今回はこのレイクトラウトについてのお話です。

それから、去年の秋に私がガイドさせて頂いた特別なお客様、今井みきこ様から手記が届きましたのでご紹介致します。ツーリバー湖でのカヌー体験やハイキングの楽しい思い出として記憶に残っています。カヌーの楽しさや自然の中での静寂感、リフレッシュ感など、アルゴンキン公園が持つヒーリング効果を十分感じて頂いた様です。紅葉が舞う中でのハイキングや息を呑むほど素晴らしいパノラマ風景 で私達は思い切り自然に浸る事が出来ました。今井様ありがとうございました。 皆様も是非私達と一緒に、アルゴンキン公園の持つヒーリング効果を味わいにいらしてください。

ホリーブレフゲンとOOAネイチャーガイド一同

ホリー ブレフゲン
親の影響で幼い時から自然に親しむ。85年、スキーテレマーク社設立。オンタリオ・アウトドアー・アドベンチャーズ代表取締役。 1児の母でもある。



心と体に栄養をくれるアルゴンキン州立公園
文・今井みきこ

 心も体も元気になれる、それがアルゴンキンでのアウトドア体験です!今回私は秋のアルゴンキン国立公園をホーリーさんに案内していただきました。 朝日とともに目覚め、まずは湖をカヌーで探検。鏡のように透明で静かな湖をゆっくりと自分たちのペースで漕ぎ進めていきます。鳥のさえずり、オールで水を漕ぐ音、風に吹かれてこすれあう葉の音。日頃は耳に入らない小さな自然の中の音が、ここでは耳にスーッとはいってきます。朝、太陽の日を浴びて自然の音に耳を傾け、しっかりと心の栄養をもらえたようでした。カヌーが初心者でも大丈夫。エキスパートのガイドさんたちがしっかりと指導してくださるので何も不安はありません。

そして山へのハイキング。一歩一歩落ち葉を踏みしめながら進んでいくと、いつの間にか自然のリズムに自分も呼吸が合っていくようでした。大きく深呼吸すると木々からおいしい空気のご馳走がもらえ、たくましく育った木に触れるとそこからは生命力が伝わってきて元気をわけてもらえたように思います。360度、見渡す限りのアルゴンキンの大自然。自分では見つけることのできない特別なスポットに案内してもらえたり、アルゴンキンのナチュラルヒストリーについてお話を聞かせてもらえたり、ホーリーさんと一緒に歩きながら少しずつ私もこの自然の中にゆっくり溶け込んでいけました。

日頃時間に追われながら生活していると失ってしまう、心と体に必要な栄養がアルゴンキン国立公園にはあります。大自然に身をまかせ自分の体一つでいろんな素晴らしいアウトドア体験ができる、それがアウトドアアドベンチャーの魅力です!

公園の展望地点で紅葉を楽しむ今井さん。

春の訪れを知らせるレイクトラウト

レイクトラウトは日本ではあまり馴染みのない魚ですが、2004年の春号で紹介したブルックトラウト同様イワナの仲間です。アルゴンキン公園の湖から氷が溶けて無くなる4月末〜5月頭になると、多くのフィッシャーマン達が大物のレイクトラウトを狙いにやって来ます。まだ凍るように冷たい湖に、カヌーやボートを浮かべてレイクトラウトを釣る光景は、言わば春の風物詩とも言えるでしょう。1mと大きく成長し、食べても美味しい事から、「レイクサーモン」よも呼ばれ人気の高いゲームフィッシュとなっています。今回はこのレイククトラウトをご紹介します。

ブルックトラウト同様低い水温を好み、水棲昆虫などが一斉に羽化するこの時期に捕食活動が盛んになる事や、この地域の地形が彼らの生息に適している事などは、2004年の春号詳しく説明しています。ブルックトラウトはアルゴンキン公園のあるカナダ北東部が原産なので、アルゴンキンを代表するマスをブルックトラウトと言うのであれば、より冷水域を好むレイクトラウトはカナダ全土に広がっているので、カナダを代表するマスがレイクトラウトと言えるでしょう。しかしながら、アルゴンキン公園とレイクトラウトには2つの密接な関係があるのです。一つはカナダ全土のどこよりも生息密度が高い事、もう一つは世界で最も長いリサーチの対象魚となっており、リサーチの中心がアルゴンキン公園のオペオンゴ湖にあるハークネス魚類研究所であるという事です。1936年の研究所設立以来、オペオンゴ湖で釣れたレイクトラウトを対象に、身長、体重、胃の内容物、鱗や生殖器官のサンプリングをし、今年で72年目を迎えます。このリサーチ活動はオペオンゴ湖にやってきた一般の釣り人や、キャンパー達にも協力してもらっているので、一般に「Creel Survey・クリール(魚篭・びく)サーベイ」と呼ばれ既に25000匹以上もの調査結果を得ています。こうしたデータを元に、成長速度や成熟速度、捕食内容を割り出しレイクトラウトの健全な生息数の保持に役立てています。2002年の夏号でも紹介ましたが、釣った魚のキープ出来るサイズを制限した「スロットリミット」と呼ぶレギュレーションなどもこうしたリサーチの元に決められているのです。

日本ではあまり馴染みの無いマスである事は冒頭で触れましたが、アルゴンキン公園と日本との関係を語る上で必然となるのがこのレイクトラウトです。マス釣りを好む日本のフライフィシャーマン達にとっても、このレイクトラウトは一度は釣ってみたい魚で、日本で唯一自然繁殖が確認されている湖が日光の中禅寺湖です。このレイクトラウトの祖先達は1966年にオペオンゴ湖から水産庁淡水区水産研究所(現養殖研究所)日光支所にはじめて移入されたレイクトラウトだったのです。日光はフライフィッシング発祥の地である事は2004年の春号でも紹介しました。水産庁という公的機関が外来種の放流をする事などは今では考えられませんが、スポーツフィッシングという言わば漁業が盛んになりつつあった当時、どんなゲームフィッシュが向いているかを研究する事も重要な役目だったのだと思います。

レイクトラウト Lake Trout /Salvelinus namaycush サケ科 イワナ属
体長は30〜80cm、平均体重は5キロ前後であるが北米の淡水魚の中では最大級の種である。現にオンタリオ州では28kg、カナダ全土では46kg、126cmの記録があり、スポーツフィッシングでは人気の高い種である。寿命も20年以上と長い。カナダ全土に生息し、オンタリオでは水温が10℃前後の水域で水質の綺麗な深い湖に生息する。小魚や川虫などが主食で、水温の低い春先には湖面の表層で捕食活動をするが、それ以外の季節は湖底の小魚や甲殻類を捕食する。同属のブルックトラウトに比べると、尾鰭が二股にはっきり分かれているのが最大の特徴。また、背中全体と背鰭にもバーミキュレーションと呼ぶ虫食い文様があるが、ブルックトラウトに比べるとこの模様は薄く腹側
は白色をしているのも大きな違いである。

レイクトラウトを釣り上げたデビッド


湖底で泳ぐレイクトラウト

大物を釣り上げたアングラー
Editor: Katsu Sakuma
Special thanks : Ministry of Natural Resources, The Friends of Algonquin Park , Ontario Parks
Photo credit: Katsu Sakuma,Holly Blefgen
References: "Fish of Alqonquin Provincial Park" by The Friends of Algonquin Park, "Fishing of Alqonquin Provincial Park" by The Friends of Algonquin Park,
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